夏、揺れる蜃気楼と線路の人影。
暑いな、実に暑くはないか。これから今日よりも、一層暑くなると考えると気が滅入る。「夏」という季節には、様々な言葉が当てはめられる。青春、恋人、花火、列車、入道雲.....四季があるとは言えども、やはり人生を象徴するようなものが紛れる季節である。 「蜃気楼」を知っているか、暑い時期にアスファルトの路面上で揺れる熱気のことである。あれを見ると、いよいよ夏が近付いて来たと肌で感じる。 読者が少年少女だった頃、線路上に敷かれたレールを「人生」に見立て、あらゆることを思案した時期はなかっただろうか。それを思春期とも呼ぶだろう、あの頃に持っていた疑問、哲学、感情はどこへ行った。まだ、持っているか。 今とな…